安全靴の規格(JIS・JSAA)をわかりやすく解説|区分と記号の見方

- 安全靴は JIS T 8101、プロテクティブスニーカーは JSAA の基準で認定された靴です。先芯が入っているだけでは安全靴ではありません。
- 先芯の強さは JIS が U・H・S・L、JSAA が A種・B種。ふつうの現場の目安は JIS の S種か JSAA の A種で、どちらも 70J・10kN です。
- P は踏抜き防止、F1・F2 は耐滑、BO は靴底の耐油など、記号で追加の性能がわかります。
この記事の目次9項目
01安全靴(JIS)とプロスニーカー(JSAA)のちがい
どちらもつま先に先芯が入り、落ちてきた物や挟まれから足を守ります。ちがいは、合格した基準と使える素材です。
| 安全靴(JIS) | プロスニーカー(JSAA) | |
|---|---|---|
| 基準 | JIS T 8101(日本産業規格) | 日本保安用品協会(JSAA)の認定基準 |
| 甲の素材 | 革(クラスⅠ)、総ゴム・総高分子(クラスⅡ) | 人工皮革・合成皮革・メッシュなども使える |
| 先芯の区分 | U・H・S・L の4つ | A種・B種の2つ |
| 見た目 | 革靴・ブーツに近いものが多い | スニーカーに近いものが多い |
| 集めた型番 | 229件 | 199件 |
両足(26.0cm)の重さの中央値は、JIS が995g、JSAA が780gでした。素材を選べるぶん、JSAA は軽い靴が多くなります。
出典: モノタロウ「安全靴の選び方」・シモン「安全靴の規格」
02JIS T 8101(安全靴)とは
JIS T 8101 は安全靴の日本産業規格です。2020年3月25日の改正で、国際規格(ISO 20345・ISO 20346)を基礎にした内容になりました。試験の方法は JIS T 8107 に、先芯のない作業靴は JIS T 8108 に分かれています。
素材で2つに分かれます。革の靴がクラスⅠ、総ゴムや総高分子(ゴム長靴のような一体成形)の靴がクラスⅡです。
出典: 日本規格協会 JIS T 8101:2020・東京都の資料(JIS 改正)・ミドリ安全「安全靴の性能」
03作業区分と先芯の強さ
先芯の強さは、20kg のおもりを落とす衝撃試験と、上から押しつぶす圧迫試験で決まります。試験のあとも、つま先に一定のすき間(26〜27cm で 14.0mm 以上)が残らなければいけません。
| 区分 | 規格 | 衝撃 | 圧迫 | 使われる現場の例 |
|---|---|---|---|---|
| U種(超重作業用) | JIS | 200J | 15kN | 鉱山・鉄鋼など |
| H種(重作業用) | JIS | 100J | 15kN | 重い物を扱う作業 |
| S種(普通作業用) | JIS | 70J | 10kN | 機械・電気・石油など |
| L種(軽作業用) | JIS | 30J | 4.5kN | 倉庫の中の軽い作業など |
| A種(普通作業用) | JSAA | 70J | 10kN | JIS の S種とおおむね同じ強さ |
| B種(軽作業用) | JSAA | 30J | 4.5kN | JIS の L種とおおむね同じ強さ |
区分がわかる425件の内訳。
- JIS の型番の多くは S種(210件)。U種・H種は11件と少なめです。
- JSAA はほとんどが A種(190件)で、B種は9件でした。
出典: ミドリ安全「安全靴の性能」・モノタロウ「安全靴の選び方」
04付加的性能の記号の見方
JIS の安全靴には、基本の性能に加えて、追加の性能を示す記号がつくことがあります。タグに「S/P/F2」のように並んでいたら、S種で、踏抜き防止と耐滑F2の性能もある、という意味です。
| 記号 | 性能 | 基準 |
|---|---|---|
| P | 耐踏抜き | くぎが貫通するまでの力が 1,100N 以上 |
| E | かかとの衝撃吸収 | 20J 以上を吸収 |
| M | 足の甲の保護(甲プロテクタ) | 100J の衝撃で最低部の高さが 25mm 以上 |
| F1・F2 | 耐滑 | 動摩擦係数 F1 は 0.20 以上 0.30 未満、F2 は 0.30 以上 |
| BO・UO | 耐燃料油(BO は靴底、UO は甲被) | 試験油に浸したあとの体積の変化が -12〜+12% |
| H | 靴底の耐高熱接触 | 300℃ で1分加熱して溶けず、曲げても割れない |
| HI1・HI2 | 高温の熱が伝わりにくい | 中底の温度が上がるまで 20〜30分未満・30分以上 |
| CI1・CI2 | 低温の熱が伝わりにくい | 中底の温度が 10℃ 下がるまで 20〜30分未満・30分以上 |
| W | 耐水(クラスⅠのみ) | 80分の浸水試験で目立った浸水がない |
| C | 耐切創 | チェーンソーの試験で切り抜けない |
| I-600 など | 電気絶縁(クラスⅡのみ) | I-600・I-3500・I-7000 が使える電圧の区分 |
集めた型番では、P がついた型番が26件、F1・F2 がついた型番が10件ありました。
05JSAA(プロテクティブスニーカー)とは
JSAA は日本保安用品協会の認定基準です。先芯の強さは A種(普通作業用)と B種(軽作業用)の2つで、甲と靴底がはがれにくいかどうかの基準も、素材ごとに決まっています。
| 種別 | 衝撃 | 圧迫 | はく離(革・ゴム/人工皮革など) |
|---|---|---|---|
| A種(普通作業用) | 70J | 10kN | 300N 以上/200N 以上 |
| B種(軽作業用) | 30J | 4.5kN | 250N 以上/150N 以上 |
追加の性能はマークで示され、P(踏抜き防止)、E(かかとの衝撃吸収)、F(耐滑・動摩擦係数 0.20 以上)、S(静電気の帯電防止)があります。
06静電靴の規格 JIS T 8103
静電靴は、体にたまった静電気を靴底から地面へ逃がす靴で、JIS T 8103 で決められています。タグには「JIS T8103(ED-P/C2)」のように書かれます。
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| ED・EDX・EC | 静電靴・特種静電靴・導電靴(電気の通しやすさの区分) |
| P・O・W | 安全靴(先芯あり)・保護靴(先芯あり)・作業靴(先芯なし) |
| C1・C2・C3 | 試験のときの湿度の区分(12%・25%・50%) |
静電靴の性能は、床の状態や中敷きでも変わります。中敷きを替えるときは、メーカーがすすめる同じ仕様のものにします。
静電の型番は85件あります。静電の安全靴の一覧から選べます。
07法律で決まっていること
労働安全衛生規則 第558条は、事業者に対して、通路の構造や作業の状態に応じた安全靴その他の適当な履物を決めて使わせるよう求めています。働く人も、使うよう命じられたら使わなければなりません。
この条文は、どの規格の安全靴にするかまでは決めていません。JIS か JSAA か、どの区分かは、職場の決まりや作業の内容で選びます。
出典: 労働安全衛生規則 第558条
08タグの読み方
規格は、ベロの裏や靴の中のタグに書かれています。JIS なら「JIS T8101」と区分(S など)と記号、JSAA なら認定の表示と A種・B種が書かれています。
くつまる自分の靴の規格は、ベロの裏のタグで確かめられるよ。JIS か JSAA か、S種や A種かが書いてあるんだ。
09よくある質問
プロスニーカーは安全靴の代わりになりますか?
法律(労働安全衛生規則 第558条)は規格まで決めていないので、職場の決まりしだいです。JIS 品を指定されていなければ、作業に合う区分の JSAA 品を選べます。
JIS の S種と JSAA の A種はどちらが強いですか?
先芯の衝撃(70J)と圧迫(10kN)は同じ水準です。ちがいは甲の素材や靴底の基準です。
先芯が入っていれば安全靴ですか?
いいえ。JIS や JSAA の試験に合格したものだけが、安全靴・プロスニーカーとして表示できます。
F1 と F2 はどちらがすべりにくいですか?
F2 です。JIS では動摩擦係数が F1 は 0.20 以上 0.30 未満、F2 は 0.30 以上です。